櫛木理宇「赤と白」
毎日雪が降り積もる新潟が舞台です。登場人物である女子高生たちは皆「毒親持ち」です。仲の良い友人同士なのに肝心の悩みは打ち明けられません。冒頭、大きな事件があったことを記す新聞記事からスタートします。なぜそのような事件が起こったのか? それを知るために読者は作品を読み進めます。
以下ネタバレ。
この年代の友情って脆いよね。
しかし苺実は本当に恐ろしい女です。ゆるふわスーパー女子力ちゃんかと思っていたのに、何の前兆もなく急にサイコ女であることを明らかにします。ついていけねぇ。
小柚子も弥子も母の呪縛から逃れられません。登場人物で唯一京香だけがいわゆる母親殺しを通過しています。京香は雰囲気のある美しい女の子。芯が一本通った何にも流されることのない魅力的な子です。
小柚子は文字通り母親を殺し、弥子は叔父を殺す(事故ではありますが)ことで精神的な母親殺しを行い、物語は完結します。自分らの選択で行ったことですから彼女らは幸せでしょう。
しかし小柚子は報われなさすぎるのでは。性的虐待にあい、母親はそれを見過ごすどころか小柚子に罪を着せ、大島にもレイプされる一歩手前でした。救いのない小柚子はアルコールに溺れ、弥子にはそれを受け入れてもらえず、火事のあとはまたもや三人組にレイプされています。
櫛木理宇の作品はあらすじが一番おもしろい。以上です。